サイノカミ、道祖神
米子市/淀江町
にしょはら。
米子市淀江町西尾原のサイノカミは西尾原荒神社にあります。
米子市内では亀甲神社に次ぐサイノカミの密集地であり、計6基もの双体道祖神があります。
若い衆の腕っぷしが余程強かったんだろうなぁ…などといらん想像が頭をよぎったり。
7時方向から時計回りに見ていきます。
双体道祖神×6基
塞神考 No.321
石に刻まれた祈り2 No.60
淀江みちくさ手帖
淀江町誌
依り代について(7時方向)
まずは真面目にコメントしましょう。
中サイズ、不定形自然石の前面を整えて神殿の線刻。
中に双体神立像が線刻されています。
向かって右の男神は佩刀したうえで笏を、女神は神楽鈴を所持しています。
と、建て前はここまでとしてやはり何といってもユルい。
私が独断と偏見で決めた
米子市内ユルいサイノカミランキング3位
です。
おめでとう🎉パチパチ!
ただ、このユルさにしてわりと珍しい小物である神楽鈴を所持しているという点に着目すると、どこかに手本とした図案があるんでしょうね。
インスピレーションにまかせて神楽鈴は
類型:烏帽子タイプ
依り代について(5時方向)
何気に珍しい丸彫りの双体道祖神。
数えるほどしか見たことがありません。
それにしても穏やかできれいなお顔ですね。
じわじわと好きになります。
特徴としてわかるのは向かって右の男神が笏を持っている事ぐらいなのですが…
頭部の置き手拭いみたいな三角の造形が気になる。
※うっかり八兵衛のアレ
そう言えばひとつ前で紹介したユルいサイノカミ⇧ですが、原型があったのではないかとつい先ほど書いたばかりです。
…
…これですな。
頭の置き手拭いを決め手として、意識して見てみると服装、女神の髪型などいちいち特徴が一致します。
よって男神が佩刀している事、及び女神の所持物が神楽鈴である可能性が高いと推測することが出来ます。
類型:烏帽子タイプ
依り代について(4時方向)
方形の切石にドーム状の深い彫込み。
中に双体神座像が半丸彫りされています。
残念ながら像が破壊されており詳しい特徴はこれ以上わかりません。
依り代について(11時方向)
中サイズの自然石。
下地は面を整える程度でうっすらと神殿を浮彫り。
中を深く彫り込んで双体神立像が半丸彫りされています。
向かって右の男神は笏を、左の女神は扇を所持。
少し自信がありませんが岩立神社の双体道祖神と類型のデザインだと思います。
類型:冠タイプ
依り代について(10時方向)
中サイズの自然石。
くっきりと神殿を浮彫り出来るぐらいに前面を彫り下げてあります。
神殿の中も深く彫り込んであり、双体神座像がしっかり浮き彫りされています。
向かって右の男神は…うーん、何かスイカぐらいの大きさの丸いものを抱えているように見えますが、わかりません。
左の女神が扇を所持しています。
スイカが気になる珍しい図案だと思います。
依り代について(8時方向)
中サイズ、オニギリ型の自然石に円形の彫込み。
中に双体神立像が線刻されています。
向かって右の男神は鼻高の猿田彦命。
佩刀のうえ笏を所持。
と、いう事は左の女神は天鈿女命。
所持品は…わかりません。
堀込み内左上に邑中と書いてあります。
類型:墓下タイプ
ねずみ荒神について
配置的に西尾原荒神社の主役だと思われる3社の石祠。
淀江町誌に記述がありますので、該当部引用します。
三社祭られる荒神小祠の中央の小祠。
海岸からショウクサ(ホンダワラ)を取ってきてここへ供え、そのショウクサを持ち帰って家の座の下へ入れるとねずみがいなくなるという。
へー!
じゃぁこのホンダワラを取ってくるっていうのをさ。
講で持ち回りなんかにし…(モガモガッ)
そこまでだ!
ねずみ講って言いたいんだろうがそうは行か
…( ゚д゚)ハッ!
4基から6基に増加
参考にさせていただいた淀江町誌には、サイノカミが4基とあります。
また、塞神考(森納、1990)でも4基。
そして24年飛んで淀江みちくさ手帖(2014)では6基になっていますので、上記4時及び5時の依り代が1990-2014の間のどこかで持ち込まれたことになります。
あくまで資料のみからの推測ですのであしからず。
サイノカミ行事について
ここでは2020年まで藁馬を供える行事が行われていました。
2022年12月、行事が見たくて出掛けてみたところその様子は無く、代わりに最後の総代をなさっていた男性が「行事はやらなくなった」と話してくださいました。
部外者の私が「残念だ」というのはとても簡単なのですが、地域内で血の通った伝承を行うというのは本当に大変なのだと思います。
これまでおつかれさまでした。
表記ゆれ
サイノカミ、サイノ神、サイの神、才の神、才ノ神、塞神、塞の神、塞ノ神、幸神、幸の神、幸ノ神、妻神、妻の神、妻ノ神